28日に投開票された三つの衆院補欠選挙を立憲民主党が全勝したことで、野党が衆院政治倫理審査会(政倫審)に審査を申し立てる可能性が出てきた。自民党派閥の裏金事件に関与しながら、国会で説明責任を果たさない自民議員に説明を迫るカードとなりそうだ。
政倫審の規程上、著しい法令違反が疑われる議員への審査の申し立てには、3分の1以上の委員(9人)の賛成が必要。しかし、補選前の野党委員は8人であと1人足りなかった。衆院事務局によると、各会派の委員は、10人以上の会派に対して所属議員数に応じて割り当てられる。今回、立憲の所属議員が3人増えた結果、立憲委員が1人増える見通しという。
自民党の裏金事件を受け、立憲を含む野党は裏金作りに関わった自民の衆院議員51人に政倫審への出席を求めてきたが、応じたのは安倍派幹部ら6人にとどまる。これまでは野党の要請によるものだったが、国会の規程に基づく要請に変わる意味は大きい。
申し立ての場合でも、政倫審の出席は本人の意向が尊重される規程は変わらないが、立憲中堅は「実際に政倫審に出席するかは別として、申し立てをする意味はある」と話す。申し立ての時期は未定だが、実態解明に及び腰な自民を揺さぶるカードとしたい考えだ。(松井望美、鈴木春香)